泰・金襴手五彩焼きはタイの手塗りの磁器の名称です

泰(タイ)の金襴手 五彩焼き(きんらんで ごさいやき・ベンチャロン)陶器は、数百年前から存在した泰を代表する伝統的な陶器です。繊細な技巧、デザインはタイの人々が持つ伝統的なモチーフが多く用いられ世界で評価されている伝統工芸品です。
「ベンチャロン」は「五色」を意味します。パーリー・サンスクリット語の「五」を意味する「ベンチャ」と「色」を意味する「ロン(グ)」に由来します。
当初、五つの色は赤、黄、緑、青と白でした。後に、黒やピンクなどの色と高純度(18カラット)の金色が追加されました。 現在ベンチャロンは五色ではなく多色の意味として使用されています。

泰・金襴手五彩焼きの歴史

泰・金襴手五彩焼き(ベンチャロン)の起源は、中国で「明王朝」まで遡ります(1368 - 1644)。
はじまりは、約600年前、中国からの王女が泰(タイ)王室に嫁ぎ、ともに中国・五彩焼きを持ってきたことに起源を持ちます。
その時は、五彩焼きが中国の皇帝だけのために作られていたものと推察されます。 中国の五彩焼きは、それから数世代にわたり、中国から泰(タイ)の国王へ供給されました。
後に、カオリン(この名称は中国の高陵に由来.中国の景徳鎮(Ching-te Chen)の近くの山の名前。カオリナイトを主に構成された粘土。陶器の製造に使用)が泰(タイ)で発見されると、泰(タイ)の国王は中国から陶芸職人を招聘し、泰(タイ)国内で金襴手五彩焼き(ベンチャロン)生産を始めました。
泰・金襴手五彩焼きは非常に長い間、古代泰(タイ)の壮大な宮殿で宗教的な式典で使われました。このように当初、泰(タイ)王室だけのために作られた泰・金襴手五彩焼きですが1900年代のラーマ五世はロイヤルファミリーと特定の裕福で有力な商人によって使われるのを許されます。
現在はタイの国王キングラーマ四世:Bhumibol国王によって1940年から1950年ぐらいに泰・金襴手五彩焼きはそれを購入する手段を持つ全員が所有できるよう許可されました。 王室の限られた人間しか使用できない希少な陶器だったことを考えると、宋胡録(スワンカローク)焼や他の陶製品のように古くから日本に輸入されることは少なく、知名度は大変低いようです。

文様・デザインについて

泰・金襴手五彩焼きは16世紀から約400年の間、職人の小さな集団の中だけで製法を伝承され代々、泰(タイ)独特の文化を吸収し続けました。
この間、金襴手五彩焼き(ベンチャロン)は泰(タイ)王室のためだけに作られました。
古代の文様は自由な形式で描かれ幾何学的なパターンで花々、蝶、植物のツタ文様などで考案されました。
デザインは数世紀にわたり増え、泰(タイ)独自の文様の多くはラーマ二世(1809 - 1824)時代に考案されました。
そして更なるパターンは次の100年にわたって進化し、特に格子パターンはラーマ五世(Chulalongkorn王1868 - 1910)の在位中に生まれました。

ベンチャロン製作

文様描画

線を引くには轆轤(ろくろ)の上で下絵から始めます。最初のパターンはデザインにとても重要で長年の経験を持つ熟練職人が描きます。各々の部分上の非常に細い線で引き出されます。デザインを描いている間、職人が比較することができるように同じパターンで完品(基準製品)を置いています。

塗り

伝統的に対称形のパターンは基礎を形成する縁から塗られます。
18カラットの金色は塗り最終工程で縁に加えられます。
金を使っているデザインはタイ語でLai NamThong(流れるような金文様)と呼ばれ、このスタイルはラーマ五世(1868〜1910)の支配中で開発されました。

泰・金襴手五彩焼きの出荷精度

製作過程の各々の段階で厳しい品質管理手順は使用されます。 過程のどれででもわずかな間違いはデザインを損ねて廃棄につながります。品質はあらゆる点で完璧でなければなりません。泰・金襴手五彩焼きが窯から出る都度、完全に調べられます。 これはどんな微細な汚れでも廃棄されることを意味します。 陶器は細かくチェックされて、欠陥が見つけらた時点で割られ捨てられます。 60%以上の拒否率は現段階で一般的です。
一部の工房では70%から75%の拒否率が存在します。今挙げた拒否率は工房の生産技術精度が低いためではなく窯の熱伝導の気まぐれが引き起こすためです。
みやげ物で販売される泰・金襴手五彩焼きの拒否率は10%に近く、これはグレード鑑別を必要としないためです。

品質

国の内外を問わず、泰・金襴手五彩焼きに詳しく無いバイヤーそして旅行者にとって、すべての泰・金襴手五彩焼きは同じものに見えます。 しかし、実際には製品グレードは5段階から7段階に分けられ、上位グレードは目に触れないところで取引されます。
泰・五彩焼き(タイ・ベンチャロン)の価値、品質の見極めは宝石にとても似ています。
まずは信用できる販売店を探すことから始まります。売り手の評判は商品自体より重要です。あなたが商品を評価する前に、あなたは売り手を評価する必要があります。みやげ物を販売する店で宝石を買う人は少ないでしょう。また、そういう種類の店に高品質の商品を求める事が酷と言えるかもしれません。本当に価値のあるものは、人の目にすぐ触れる場所にはありません。そして見極めるにはある程度の知識と経験が必要となります。

泰・金襴手五彩焼き保存・お手入れ

金襴手五彩焼きは他の陶器同様、固いものにぶつかれば粉々になります

販売店注意書きより抜粋

  1. 泰・金襴手五彩焼き(タイ・ベンチャロン)は金属を含んだ塗料を用いています。したがって電子レンジで決して使用してはいけません。
  2. 泰・金襴手五彩焼き陶器をきれいにするために、柔らかい乾いた布で拭いてください。固い材料(ボタン、フックなど)が布にないことを確認してください。
  3. ほこりなど汚れを拭き取るために、軽く湿った布を使うこともできます。
  4. 傷を避けるために、固い物が表面にすれないようにご注意ください。また陶器を並べる場合、陶器同士が直接触れ合わないよう柔らかい仕切を間に挟む事をおすすめします。
  5. 陶器同士をこすり合わせないでください、ダイヤモンド同士がお互い瑕(キズ)をつけあうように陶器同士も瑕(キズ)をつけます。
  6. ディナー用平皿、大皿、ソースボートまたは深皿のような泰・五彩焼きディナー用食器類一式部分をきれいにするために、固いブラシ等を使用せず手洗いが望ましいです。
  7. 堅い金属シンク(洗い場)に対するクッションとして、プラスチック鉢などを使ってください。
  8. 鉢に過負荷をかけないでください。
  9. 穏やかな洗剤と柔らかいスポンジを使ってください。
  10. 研磨パッド、クリーナーまたは磨き粉などを決して使用しないでください。
  11. 食卓用金物のような他のキッチン用品とは、別に洗ってください。
  12. 子供たちの手の届く範囲に置かないでください。

このサイトは泰の国立研究所のリサーチャーに取材をして掲載いたしました。
諸説があるものもございます。あらかじめご了承ください。

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